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フッ化物歯面塗布について

フッ化物歯面塗布について、よく患者様が疑問に思う事柄を1つずつ解説していきたいと思います。

①フッ化物歯面塗布により、口内炎や歯肉炎が誘発されるのかどうか

昭和60年の国会答弁として、当時の内閣総理大臣は我が国の政府の見解を以下のように述べています。

「フッ化物歯面塗布により口内炎・歯肉炎等の症状が発生するとする報告は、承知していない。」

②フッ化物歯面塗布を繰り返すことによって、歯のフッ素症は生じるのか

フッ化物紙面塗布法は高濃度のフッ素を使用するため、歯科医師か歯科衛生士という歯科専門家が行うことが可能な予防処置として位置付けられています。

高濃度のフッ素を取り扱いますが、塗布後に口の中に残るフッ素量から見ても、また塗布頻度から見ても十分な安全性が確保されています。

フッ素症は、歯が生える前の時期(顎の中で歯が作られている時期)に高濃度のフッ素を持続的に摂取した場合に生じるものですから、歯が生え出してから行うフッ化物歯面塗布とは無縁のものです。

例えば7歳頃に生え出す永久歯の前歯に歯のフッ素症が生じるのは、1歳から3歳までのフッ素の過剰摂取が原因となりますので、無縁であることがお分かり頂けるものと思います。

したがって、歯科専門家が管理下で行うフッ化物紙面塗布により、歯のフッ素症が生じることはありません。

 

③フッ化物歯面塗布は年に何回行うのが良いのか

フッ化物歯面塗布によるむし歯予防は、歯の表面に高濃度のフッ素イオンを作用させて、酸に溶けにくい歯の質に変えることによって達成されます。一回の塗布により高い予防効果が得られますが、強化された歯の表面は少しずつすり減っていきます。

また、子供の頃は次々に新しい歯が生えてきますので、定期的かつ継続的にフッ化物歯面塗布を受けることが確かな予防効果を得る鍵になります。

また、その効果をより高めるためには、できる限り頻回に行うことが重要です。通常で6ヶ月に一回ずつ行い、むし歯になりやすい個人であれば3〜4ヶ月に一回が望ましいことから、少なくても年に2回、できれば年2〜3回行うことになります。

新潟県のとある町と村では生後10ヶ月児から2〜3ヶ月ごとに1回ずつフッ化物歯面塗布を行っています。

その結果むし歯に罹患したことがない人の割合が1歳6ヶ月児で77.1%から94.0%に、3歳児で17.7から51.5%に増加しました。

④むし歯があってもフッ化物歯面塗布は効果的なのか

むし歯にかかってからフッ化物歯面塗布を行っても手遅れと誤解されている方がいますが、そんなことはありません。というのは、まだむし歯になっていない歯もあるはずですし、むし歯にかかった歯であってもむし歯でない箇所がありますので、フッ化物歯面塗布によるむし歯予防は必要です。

むし歯のある人はむし歯にかかりやすい人と考えられるため、より積極的に受ける必要があるでしょう。

また、すでに欠損(穴があく)を生じた部分が元に戻ることはありませんが、フッ素には、初期のむし歯の進行を抑制する働きがありますので、より積極的にフッ化物歯面塗布を受けると良いでしょう。

 

⑤フッ化物歯面塗布を受ける際に注意する点は何ですか?

フッ化物歯面塗布は、歯の質の強化を目的にフッ化物を直接作用させる方法であり、その効果をより確実にするための注意事項があります。

それは塗布を受ける前に歯磨きをしておくことと、飲食を済ませておくことです。

歯を綺麗にすることによりフッ素が歯の表面に取り込まれやすくなりますし、それらの反応を確実にするために、塗布後30分は飲食をしないほうが良いからです。

また「フッ素を塗ってもらったから」と安心して生活習慣がおろそかになっても困ります。

毎日の生活の中で、甘いものの取り方に注意し、食後の正しい歯磨きを行い、さらに定期的に塗布を受けることが必要です。

フッ化物塗布を受ける際に、フッ化物の効果や安全性、塗布の方法や手順について疑問があれば、塗布を担当する歯科医師や歯科衛生士に尋ねると良いでしょう。

 

⑥家で毎日フッ素入り歯磨き粉を使用しているが、さらにフッ素を塗る必要があるのか?

フッ化物配合の歯磨き粉を使用することで、むし歯になりかかった初期病変を再石灰化して、むし歯への進行を食い止めたり、歯垢中の細菌活動を抑えて、むし歯の原因となる酸の産生が低下するという効果が期待できます。

フッ化物歯面塗布は、歯の表面を酸に溶けにくい強い質に変えることができますので、両者を組み合わせれば、お互いの長所を生かせます。

これらの手段はフッ化物局所応用として位置付けられるものですから、組み合わせてもフッ化物摂取が過敏になることはありません。

 

⑦大人はフッ素を歯に塗らないのか

大人にはフッ化物歯面塗布を行わないということはありません。

事実、むし歯予防の進んだ諸外国では大人にも積極的に実施しています。

ただし、我が国では子供へのフッ化物応用ですら十分とは言えない現状にありますから、大人へのフッ化物歯面塗布はまだ一般的になっていないのです。

子供の頃にむし歯になりやすいのは奥歯の溝の部分であり、成人になると歯と歯の間老人期では、歯の退縮に伴って歯根部にむし歯が発生してきます。

ですから自分の歯を持つ人であれば、少なくてもフッ化物配合の歯磨き粉は一生涯使い続けるべきものと言えます。

ただし、成人・老人は子供に比べればむし歯が発生する率は低下します。

それは年齢とともに歯のエナメル質のフッ素濃度が上昇して、成熟が進むためむし歯になりにくくなるからです。

しかし、歯根部の象牙質と言われる部分のむし歯予防を開始することが必要になります。

また、唾液の分泌量が低下したり、減少する病気があります。

これらの人は、大人であってもむし歯発生の危険が高いので、より積極的にフッ化物を応用して、むし歯予防に取り組む必要があります。