〒105-0014 東京都港区芝2-6-3

糖尿病と歯科診療

糖尿病とは

食べ物に含まれるブドウ糖は体内に取り込まれると、エネルギーとして利用されます。

しかし、インスリンの作用が弱いとブドウ糖(血糖)を上手く利用できず、血糖値が高くなります。

血糖値、HbA1c

ヘモグロビンは赤血球内のタンパク質の一種で、全身の細胞に酸素を送る働きをしています。
血液中のブドウ糖がヘモグロビンとくっつくと糖化ヘモグロビンになります。
血糖値が高いほどヘモグロビンに結合するブドウ糖の量が多くなります。
いったん糖化したヘモグロビンは、赤血球の寿命(120日)が尽きるまで元には戻りません。

糖尿病の基準値

HbA1c判定のめやす

▪️空腹時血糖値

10時間以上絶食した状態で計測。食事前、血糖値がもっとも低くなっている状態の値を判定します。

正常値80mg/dl~99mg/dl
糖尿病予備軍100mg/dl~125mg/dl
糖尿病の可能性が高い126mg/dl~

▪️随時血糖値

ブドウ糖75gを水に溶かしたものを飲み、30分後、1時間後、2時間後に計測。食後のインスリンの効き方を判定します。

正常値80mg/dl~139mg/dl
糖尿病予備軍140mg/dl~199mg/dl
糖尿病の可能性が高い200mg/dl~

 

歯科治療においての注意点

高血圧症の方は降圧剤を服用し、血圧を正常範囲にコントロールしている場合があります。

高血圧薬との相互作用に注意を払いながら歯科治療を行う必要があります。

降圧剤を服用中の場合、歯科治療は午前中が理想的です。また、その日の降圧剤服用をしたか否かの確認をが必要となります。

急性炎症がある場合、痛みにより血圧が上昇するので鎮痛剤などを処方を行います。

 

糖尿病と歯周病の兼ね合い

糖尿病と歯周病は一見異なる病気ですが、

実は相互に関係することがわかっており、

糖尿病の方は、そうでない方と比べて、歯周病になりやすいことがわかっています。

糖尿病のコントロールがよくない場合や、罹病期間が長い場合には、歯周病の進行が速く、早期に重症化しやすいことが分かっています。

 

血糖コントロールの重要性

糖尿病患者に おける高い歯周病罹患率と重度な歯周組織破壊は、

血糖コントロールが不良な糖尿病患者にのみ観察さ れたと報告されています 。

アメリカでの大 規模疫学調査である National Health and Nutrition Examination Survey Epidemiologic III (NHANES III ) では、

血糖コントロールが不良な糖尿病患者では、

非糖尿病患者と比べて糖尿病罹患率が 2.9 倍高いと報告されています。

さらに、血糖コントロールが良好な糖尿病患者では、歯周病のリスクの有意な上昇 は認められなかったことも報告されています。

糖尿病罹患者の歯周病高リスクについて

厚生労働省の平成 24 年国民健康・栄養調査の糖尿病に関する状況によると、

わが国におけ る「糖尿病が強く疑われる人」約 950 万人

さらに「糖尿病の可能性を否定できない人」1,100 万人と推計され、

「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性を否定できない人」の合計 は

平成 9 年以降はじめて減少したものの、

成人の 5 ~ 6 人に 1 人は糖尿病あるいは耐糖能異常を有する状態であることが報告されています 。

糖尿病は、網膜症、腎症、神経障害などの合併症を引き起こし、

また虚血性心疾患、脳卒中などの動脈硬化性疾患の発症や進行に関与することが知られています。

このような合併症は患者の QOL を著しく低下させるのみでなく、

医療経済的にも大きな負担を社会に強いており、対策が求められています。

口腔領域においても、歯周病が糖尿病患者に高頻度にみられることから、

合併症と認識され、糖尿病と歯周病の関連について多くの研究が実施されてきました。

2008 年の日本歯周病学会発行「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン」では、糖尿病患者は 1 型 2 型にかかわらず、健常者に比較して、有意に歯周病を発症する頻度が高いとされ、この関係についてはエビデンスレベル 3 と判定されています。

 

歯周病と健康

歯周病は歯周病細菌による感染症です。
慢性的で、軽微な、炎症が持続している、ことになります。
そのため、歯周病細菌から毒素が産生され、歯周組織を破壊する一方で、この細菌を攻撃するために、体の中でも炎症性の物質が常に産生されていることになります。
その結果、これらの歯周病細菌や炎症性物質が血液や唾液に混ざって全身をかけめぐることになります。
この炎症性物質によりインスリン抵抗性が上がり、血糖コントロールの悪化を導くことがわかっています。
さらに、歯周病細菌が頸動脈や冠状動脈に粥状硬化・血栓の形成を促し、心筋梗塞や脳梗塞の発症のリスク因子となることもわかってきました。
歯周病は大切な歯を失うばかりでなく、全身にも悪影響を及ぼし、生命をも奪いかねない怖い病気です。
また、歯周病の進行で歯がぐらつきや、歯を失うと、食物繊維やミネラルなどの摂取が少なく、
逆に摂り過ぎに注意が必要な炭水化物やコレステロールの摂取が多くなるため、栄養バランスが崩れる傾向があることがあることが、平成16年国民健康・栄養調査で明らかになっています。